このキョーダイ、じつはワケありでして。
『軽い打撲だとは思うけれど…、腰を打っちゃったらしくて。念のため病院に行ってもらえるかな?こちらから紹介状も書くので』
『…わかり、ました』
『慶音ちゃん、帰ったらお兄ちゃんに湿布を貼り替えてもらってね。結城さんもよろしくお願いします』
また迷惑をかけてしまったと、保険医ではなく咲良ちゃんのお母さんに視線を移す。
彼女はやさしく首を横に振ってから、俺に抱きつく慶音を切なそうに見つめていた。
『骨とかは…折れてないんですか』
『平気平気。歩けるみたいだし、ほんと良かったわね~』
保険医も、担任だろう女も、大して心配なんかしていない。
けれど今も俺にしがみつくように服を掴んでいる妹には、よく見ると腕の数ヶ所に大きめの絆創膏が貼られていた。
『……いっぱい怪我してますけど』
『ああ、それね。一応こっちで手当てできることはしておいたから。石で擦り剥いちゃったみたい。そこは大丈夫そうね』
『…いし、』