このキョーダイ、じつはワケありでして。
『だって兄ちゃん、そしたらすぐ慶音がいるとこに会いに行くだろうし』
『え、にいちゃんも死んじゃう?』
『うん。そこでまたおまえの兄貴するよ俺』
もしかするとその場所は、ここより幸せなのかもしれない。
この世から見たらどんなに悲しい世界だったとしても、こんな恐怖や不安と隣り合わせの生活じゃなくて。
母さんも父さんもいて、きっと俺だって子供でいられる甘えられる世界だろうから。
そこでも俺は血の繋がりはない小さな妹をおぶって、俺も幸せを感じるんだ。
『それでまた生まれ変わって、また俺は慶音の兄ちゃんになって……』
やっとそのとき、何回目かで、血さえ繋がっちゃったりしてね。
としてもたぶん、今と変わらないよ。
なんにも変わらない、姿と名前だけが変わった俺たちがいるんだ。
『やっぱイヤ。にいちゃん死ぬの、やだ』
『だって俺、おまえがいない世界に未練なんかないもん』