このキョーダイ、じつはワケありでして。
「おっそー。やっと来たよ~」
「ごめんねえ?このまま来ないかと思っていろいろやっちゃった~」
予想どおり中庭トイレには2年と3年が混合した女子生徒が待っていた。
金切り声のような笑い声を無視して、彼女たちが手にする胴着を遠慮なく返してもらおうとすれば。
「なにその無反応。きっしょ」
バン────ッ!!!
私を脅すつもりだったのか、動きを止めたかったのか、それともただ音を出したかっただけか。
勢いよく叩かれる個室のドア。
「あんたさあ、志摩とどーいう関係?」
「…ただの先輩と後輩です」
「へえ~?志摩、あたしらと一切遊んでくれなくなったんだけど。ねえ、付き合ってんの?」
知りませんよそんなの。
どうせ付き合ってませんって言ったところでヒートアップするだろうし、面倒だから肯定したとしても同じこと。
最終的に私は「先輩たちが思っているような関係ではないです」と、曖昧な返事をした。