このキョーダイ、じつはワケありでして。
「えっ、それでボディーガードに…?」
「……だってバレたから。そうしなきゃいろいろ終わる気がして」
「すごいね慶音ちゃん…!まさか志摩先輩から直々(じきじき)に頼まれちゃうなんてっ」
……なっんにもすごくない。
咲良はぜんぜんわかってない。
でもかわいいから許す。
“志摩先輩”と名前を出してしまって周りをキョロキョロする姿がもう、かわいい。
幼なじみながらに、もし私が男だったら100%咲良のことを好きになっていたに違いない。
「がんばってねっ」
「……ん」
がんばるって、なにを頑張ればいいのか分かんないけど。
健気に応援してくれる幼なじみの笑顔に、ふわーっと少しだけ中和されたような気がする。
「はっ…!はあ…っ、あいつ…!!」
しかし中和されることなく、全力疾走の昼休み。
「おいそこの女子!廊下は走るなー!」
うるせえ黙れハゲ。
と、スピードを緩めることなく心のなかで大反抗だ。