このキョーダイ、じつはワケありでして。
「っていうかっ!志摩がいつもふらふらしてるからいけないのよ…っ!!」
「そーよっ!!女の敵…!!」
そーだそーだー、女の敵ー。
ビンタでもグーパンでも思う存分食らってしまえー。
再起不能になってしまえー。
そして2度と起き上がるなー。
「けーいちゃん?」
「………わかってますって」
弱味を握られるとは厄介で、憂鬱で、まったくどうしようもなく情けなくて嫌になる。
ちょうど動物Aが緒方 志摩に対して握りこぶしを天井へと振り上げたタイミング。
私はすぐに体勢を整えながら、振り下ろされた手を左手でパシッと取った。
「な、なによ、」
「…それはね、こうするんです」
「っ…!!」
まずグーは、親指を外側にしないと突き指をしてしまう。
十分に握れないし、その握り方は怪我に繋がるから良くない。
ぜったい割られない石を作るの。
丁寧に説明したお手本を見せてから、まっすぐまっすぐ本来の4分の2ほどのスピードで動物A自身に向かわせる。