このキョーダイ、じつはワケありでして。
兄ちゃん。
なんかこいつ、よく分かんないけど危ない匂いがする。
自分の貞操だけはどうにかしてでも守り通すつもりだけど…さ。
「まあ俺の場合、犬とするなら軽いスキンシップくらいかな」
なんて、今も憎たらしく笑っている元凶。
「そういえば明日の授業参観、もしかしてそのお兄ちゃんくるの?」
「…………」
「へえ来るんだ。じゃあ挨拶しておかなきゃね」
「いいっ、しなくていいんで!金輪際兄ちゃんには関わるなクソ野郎」
「唐突に口悪すぎだろ」
もちろんこんなところを兄に知られたくないというのもあるけど、それだけじゃない。
いちばんはなにが起きるか分からないから。
兄は、四宮 成海は、昔は喧嘩っ早くてどうしようもない男だったらしい。
30人相手に笑いながらひとりで突っ込んでいた───と。