このキョーダイ、じつはワケありでして。




ほんとに憧れてるんだ…。

見てとれるくらい、彼の瞳はキラキラと少年のように輝いていた。



「天瀬くん。どうもありがとう」


「あっ、いや、…四宮にはいつも…お世話になってるんで」


「ふっ。どう考えても世話してもらったのはこいつなんだけどね」



ただやっぱり兄ちゃんのほうは天瀬のことを覚えていないみたいで、そこだけが少し可哀想だったけど…。

天瀬からすれば、名前を聞かれて覚えてもらえただけで十分なんだと思う。


私たちにとっての本番であり見せ所は授業参観ではなく、このあとなのだから。



「では、これから男女合同稽古を始める!保護者が観覧に来てるからって気を抜かないように!」


「「「はいっ!!」」」



よりによって今日に限って男女合同稽古だと…。


授業参観が無事に終わると部活動に所属している生徒は保護者共々、それぞれ部活参観へと移行した。

合同稽古は今までも何度かあるものの、こんなふうに試合形式は初めて。



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