このキョーダイ、じつはワケありでして。




「できれば1年同士でやらせてやりたいんだがなあ……」



だんだん退屈になってきた私は、腕を組んで立つ存在へチラリと視線を向ける。

ふわっと微笑まれて安心を感じてすぐ、なんと兄はとんでもない提案をしてきた。



「その相手、よかったら妹にやらせてあげてくれません?」


「ん…?妹…?きみは……」


「ああ、四宮です。天瀬くんとうちの慶音を試合させてやって欲しいんですが」



一斉に動いた部員たちの注目の的。

ふと、兄の言葉を聞いていた顧問は何かに気づいたようで目を大きく開かせる。



「しのみや……、きみはもしかして四宮くんじゃないか…!?」


「え?俺ですか、ええ、まあ」


「私はこの高校に来る前は長年ずっと中学校のほうで講師をしてね…!覚えているよ、強かったもんなあ!」


「あー…、そんな時期もありましたね。もう忘れちゃいましたけど」



なんか盛り上がってる…。

すぐに兄の場所へ駆けつけては手を伸ばし、握手を無理やりにも交わしたりと。



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