このキョーダイ、じつはワケありでして。




『………おかえり慶ちゃん。冷蔵庫にゼリーあるよ』



そうそう、1回すごい大泣きしながら学校から帰ったことがあった。

すぐに察した兄は私が好きなゼリーを用意してくれたけど、私はそれを逆に投げつけちゃったんだ。



『うわ、返ってきた。やったね、兄ちゃんにくれんの?もう返してやんないからね』


『それ…っ、わたしの……っ!!』


『だって投げてきたじゃん。時速50キロはあったよあぶねー』


『っ、か、かわいそうって…、』


『…ん、なあに』


『わたしのこと…、お母さんもお父さんもいなくてかわいそうってっ、隣のクラスの奴らが言ってきた……っ』



最初の頃は、こんなことはしょっちゅうだった。

学校では平然と過ごして、家に帰ると兄ちゃんにぶつけるように大泣き。



『大丈夫。そんなブスがおまえに危害を加えようものなら兄ちゃんがマイナス2秒で蹴散らしてやるから。わかる?マイナスだよ?気づく前に倒れてんの、やばくない?』



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