バレンタイン

待人


 彼氏いない歴6年。

 彼氏がいたのは中学3年生のとき。

 卒業直前に告白されて、なんとはなしに付き合ってはみた。

 でも、それまでだった。

 奥手過ぎた私たちはただの一度もデートすらすることなく、卒業して高校が別れると自然消滅した。
 

 ...果たして、そんなんで彼氏と呼んでいいものかはさておき、それからの私には彼氏らしき存在の人はいない。

 
 たまに男のひとから誘われることはあった。

 ときには、告白されることだってあるにはあった。


 でも、何故かそんな気にはなれない。



 私はまだほんとうの恋を知らない。



 いや、もしかするとあれが恋だったのかも知れない。

 
 あの雨の日のときめき。


 身を震わすような寒さのなかで、心だけは熱かった。




 もしも、あれが恋ならば。





 私は本当の恋を知るのが、怖い。






 
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