あなたのいない暗闇を、光輝く世界に変えて
お葬式当日。

哲平の車に同乗させてもらい、到着したのは『フューネラルホール ソレイユ』というおしゃれな葬儀式場。

ホールに入ってもお線香の匂いがほとんどしない。

よかった…

最近匂いに敏感になってるみたいで、すぐに気分が悪くなったりするから少し安心した。


ロビーに進み、案内された控え室に行くと美知さんがまず労ってくれた。

そして「凛花ちゃん、先に渡しておくね」と美知さんから手渡されたのは、小さな箱。

何だろう…

「知典の車のダッシュボードに入ってたの」

「これ、開けていいんですか?」

「うん、開けてみて」

綺麗な紙製の箱の蓋を開けると、中に薄ピンク色のベルベットの小箱が入っていた。

え、この箱って…もしかして…

小箱を取り出し、ドキドキしながら開けると、中にダイヤのついた指環が入っていた。

「これ…って…」

「リングの内側を見てみて?」

指環をそっと持ち上げて、内側を覗く。

あ…

〝tomo to rin〞


「知典…凛花ちゃんにプロポーズしようとしてたのね…もう25だもんね…」

「トモ……」
そうだったんだね…ありがとう…結婚を考えていてくれたこと…嬉しいよ…

「だからこれは凛花ちゃんに持っていてほしくて」

「ありがとうございます…トモ…ありがとう…一生大事にするよ…」

…あの時に言ってた〝俺の置き土産〞って、この指環だったんだ…

うん…うん……大事にするよ…
当たり前じゃない…

また涙が溢れて…止まらなくて…美知さんが抱き締めてくれた。


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