【短編】最強総長は隠れ狼姫を惑わしたい。
「カッコよくて、可愛い。……お前は最高の女だよ、リィナ」
「迅っ……嬉しい……。迅こそ、最高の男だよっ」

 お互いに気持ちが(たかぶ)って、また唇が触れ合おうとしたとき――。


「てめぇら……今どういう状況か分かってんのかぁ⁉」

 地の底から響くような怒りの声があたしたちを止めた。

「えっと……迅さん、リィナ……流石に今二人の世界に入るのはちょっと……」

 圭にも突っ込まれてしまった。


 周りを見ると、うずくまっていた男たちもすでに立ち上がっていてあたしたちを囲んでいる。

 流石にこの中で続きをするのは無理か。

 残念、と思っていると倉庫の外の方も何だか騒がしくなってきた。


「おおい! 《氷龍》の総長ぶちのめせるってのは本当なのかよ⁉」
「なんだよ、そっちも呼ばれたのか?」

 どうやらさっき三谷の仲間が電話していた連中が来てしまったみたいだ。

「……迅、大人気だね?」
「……こんな人気はいらねぇよ」

「二人ともなんでそんな冷静なんだよ⁉ これ、かなりまずいだろ⁉」

 元気は取り戻したもののまだ体を思うように動かせないらしい圭が焦りを前面に出して叫ぶ。

 でも、人質がない状態ならあたしはそうそう負けたりしない。
 多分迅もそうだと思う。
 出会ったときから迅がかなり強いだろうってのは感じ取ってたから。
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