推し恋〜推しと恋に落ちました〜
荻原さんは私の同僚で、社内で一番成績の良い人だ。

さわやかな外見からは予想もつかない程の仕事っぷりに、毎度見習わないとと思わされる。


「荻原さん、ありがとうございます」

「市原さんのためなら、僕はいつでもボイスレコーダーの提出させて頂きますね」

「い、いえ…そこまでは!部長の言っていることも理解していますから」


そもそもあんなに怒るのは私がトロいから。

成績も残せてないし。

私が変わるきっかけを作ってくれてるのかもしれないし。

…それは夢見すぎか。


「あ、そういえば市原さん…今日予定空いてます?」

「今日ですか?えーっと……あ!!!今何時ですか!?」


急いで社内の時計に目を向ける。

もうすぐで定時を迎える時間だった。


「今日はどうしても定時で帰らなければいけない日なので、早く作業を終えなければ…!」

「え、今日もですか!?」


まずい!

今日までの作業を早く終わらせないと!

昨日寝不足で、昼間全然進まなかったから…。

まって、そういうところがダメだから部長に怒られるんじゃ…?(今更)

と、とにかく何としてでも定時に帰るぞ…!!



「市原さんっていつも怒られてるけど、ある時急にスイッチ入るよね…」

「どうしたんだろうね…」


同僚達にそう言われてるとも知らずに、私は大急ぎで仕事を捌いていった。


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