一期一会。−2−
『似合ってるね!』

ガヤガヤしている空気の中、聞こえるように大きめの声で言った。

さぁさぁ、お祭りへ出陣だ。

祭り囃子の音が、祭りに来たことを深く実感させる。

いい香りを放つ屋台が立ち並んだ通りには、人が沢山歩いている。

ソレを見て、和は心底嫌そうな顔をしていた。

もう帰る、なんて言い出さないでよ?

まぁ、フィナーレを見届けるまでは帰すつもりもないけどね。

まずは、普通に楽しみましょう。

…取っておきのサプライズは、もっと夜が更けてから。

「何食べたい?」

『りんご飴!』

「りんご飴って何?」

3人で屋台を見て回りながら、雑談。

和は、祭り自体に来たことがないらしく、キョロキョロと忙しなく目を動かしていた。

どうやら、屋台名物も知らない様子。

箱入り坊っちゃんか。

りんご飴を知らないなんて!

人生の半分くらい損してるよ。



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