一期一会。−2−
ー…どこまでも、堕ちていく。
ー「和!」
ー「和、何ボーッとしてんの」
脳内に浮かぶ二人の声に、無力にも唇を噛み締めた。
悔しくて、たまらない。
若頭なんて、名ばかりだ。
抗争を無意味だと思いながら、止める力も持っていない。
結局、この歪みきった世界を修正することも叶わない。
悪は、正義によって裁かれる。
それは、理であり、運命だ。
救いなんて、願うことすら無駄なんだ。
俺は、報いを受けるのだ。
ー…この身に、生まれ落ちた罰を。
初めて口にした、望み。
誰かの側にいたいと思うのも、図々しいことなんだろうな。
要らない、最低な俺が、願うことを欲した。
ー「私、何があっても離れないから」
もし、…もしも。
普通の家庭に生まれ育っていたなら。
きっと、素直に彩羽を愛せただろう。
だけど、俺は…どうしても、こんな身だから。
『…好きだよ』
無意識に、口から溢れた声は誰にも届くことはなかった。
いつか、伝えられる日が来るだろうか。
…なんて、期待してしまうから、馬鹿だ。
ー…ごめん、頼人、彩羽。