一期一会。−2−
桃李さんが、ニパっと可愛らしい笑顔で、とんでもないことを言い出した。

本気で、囮になるつもりだったのか?!

『…あ、危なくない?』

「へーきへーき。

 いざとなったら、殴るか抵抗するし」

女バージョンの僕は無敵だからね、と胸を張る桃李さん。

自画自賛…とは思いつつ、否定もできなかったので口をつぐむ。

いや、…まぁ、うん。

何とも言えない顔をしていたら、葵は即座に、

「じゃあ、それで行こう」
 
と決定を下した。

「侵入後は、どうする?」

時雨に、目線を投げられる。

一呼吸置いて、真っ直ぐ前を見据えた。

『…私は、和を救けに向かう』

「…そう。

 じゃあ、俺らはその道が閉ざされないようにしなくちゃね」

時雨は、ニッと口角を上げた。

…組の内部に入るのは、とても危険なこと。

一歩間違えれば、銃撃戦になりかねない。

闇堕ちした古立組は、狂気を振るうことも厭いやしないだろう。



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