一期一会。−2−
え、今、なんて?

ハッカーって言った?この子。

犯罪ですけど!?

「パソコン得意なの?」

得意だからハッカーが出来る、というわけではないと思う。

「うちの刻は天才だからね〜」

「…ウザイ」

葵に返したのは刻ではなく時雨。

ニヤニヤして言う時雨に、刻は容赦なく毒を吐いた。

無表情で言うから、尚更恐ろしい。

仲いいんだか悪いんだか。

「…良い?彩羽」

『…えっと、お願いします…』

刻の、有無を言わせないオーラに押された。

お願いしていいのか、これ!?

私の言葉に頷いた刻は、ノートパソコンを取り出して、光速で叩き始める。

どこから出したソレ!

……ブラインドタッチとか超格好いいんだが。

「じゃあ、その間に作戦練ろうか」

『そ、そうだね』

よし。

犯罪とか、刑罰とか、あまり考えないでおこう。

『えーっと、とりあえず屋敷に潜入するためにどうしようか』

「僕が警備員を誑かしとくから、その隙に入れば?」



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