一期一会。−2−
何を言っても打ち返してくる。
こいつ、屁理屈の天才!?
口が回る奴に、ぐうの音も出ない。
もうやだ、入学早々、平穏ライフ
ぶっ壊される…!
こんな美形揃いが保護者席にいるとか
ありえないって。
先生も生徒もその保護者もメロメロ
でしょうよ!
「大人しくしないと人に見られて、
尚更悪目立ちするよ」
腹黒時雨は、今日もブラック100%。
さり気なく脅すのやめてくれます!?
いつもキラッキラなスマイルを浮かべて
らっしゃるけど、口を開けば、
毒舌か口説きが出てくる時雨。
こ、この二重人格!
でも、言われたことはド正論だから、
返す言葉がない。
『…うー』
「よしよし」
大人しく歩き出したら、葵は目を細めて
手を離し、私の頭を撫でた。
なんか、調教されてる…?気の所為?
その優しい仕草に、ドキッと心臓が跳ねた。
うっ、なにこれ、動悸?
葵に触れられると、ドキドキする。
「かーわい、ときめいちゃって」
「真っ赤だな」
『へ』
ドンッと葵を突き飛ばして、私を挟むようにして迫ってきた2人。
右に由宇、左に時雨。
葵は押されたらしい背中を押さえ、
痛そうにしていて。
からかう2人に、私は訳も分からず、
あたふたした。
と、ときめき…!?
そ、そんなんじゃ…っ!
私の反応に楽しげな2人は、隙をついて、
両側から距離を詰めた。
両頬に、軽く何かが当たる。
『…っ!?』