一期一会。−2−


何を言っても打ち返してくる。

こいつ、屁理屈の天才!?


口が回る奴に、ぐうの音も出ない。


もうやだ、入学早々、平穏ライフ
ぶっ壊される…!

こんな美形揃いが保護者席にいるとか
ありえないって。

先生も生徒もその保護者もメロメロ
でしょうよ!


「大人しくしないと人に見られて、
 尚更悪目立ちするよ」


腹黒時雨は、今日もブラック100%。

さり気なく脅すのやめてくれます!?

いつもキラッキラなスマイルを浮かべて
らっしゃるけど、口を開けば、
毒舌か口説きが出てくる時雨。

こ、この二重人格!

でも、言われたことはド正論だから、
返す言葉がない。


『…うー』

「よしよし」


大人しく歩き出したら、葵は目を細めて
手を離し、私の頭を撫でた。

なんか、調教されてる…?気の所為?

その優しい仕草に、ドキッと心臓が跳ねた。

うっ、なにこれ、動悸?

葵に触れられると、ドキドキする。


「かーわい、ときめいちゃって」

「真っ赤だな」

『へ』


ドンッと葵を突き飛ばして、私を挟むようにして迫ってきた2人。

右に由宇、左に時雨。

葵は押されたらしい背中を押さえ、
痛そうにしていて。

からかう2人に、私は訳も分からず、
あたふたした。


と、ときめき…!?

そ、そんなんじゃ…っ!


私の反応に楽しげな2人は、隙をついて、
両側から距離を詰めた。

両頬に、軽く何かが当たる。


『…っ!?』


< 9 / 244 >

この作品をシェア

pagetop