貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
誰より自由で自分ならどこまで許されるかを心得ているカイは,アンナも蘭華もベルトゥスさえ笑って許したらしい。

あら……?



「カイ,どうしてここに?」



今回はとつけそうになって,私は慌てて誤魔化した。

カイが生まれて直ぐ病に倒れた母親に続き,父を亡くしたカイが組織の一員なのは知っているけれど。



「ベルトゥス·ボーンに拾われたんだ,俺。そんで割りと役に立ってんだけど。リリーの居場所見っけたのが俺だから,蘭華に褒められるために呼ばれたんだよ」



蘭華に呼ばれて,わざわざご馳走目当てに来たのねと笑ってしまう。



「……え? カイが見つけてくれたの??!」

「そー,突然叩き起こされてあっちこっち探したわけ。でも探し人がリリーなら,うっかり手抜きしないで良かったよ」



けらけらと笑うカイは,任務放棄の常習犯。

ほんとに私は運が良いとしか思えない。



「え,てかリリーだったんだよね? 拐ったやつと組織ごと潰しに行かなくちゃ」



カイは笑顔で怖いことを言った。

前世でもたまにあるこの悪癖は,本気なんじゃと思ってしまうから治してほしい。



「あぁそうだ,ベルトゥス·ボーン? それなら話は変わるんだよ,さっきは長い上に興味なかったから割り込んだけど……なに俺の大事な子にちょっかいかけてんの? 殺すよ」
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