貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「おっ前が……僕の母さんと父さんを……!!!」
『人間を2人殺し─────教会に入った』
爆発音をきっかけに,外は大乱闘になっていた。
私は以前聞き取れなかった蘭華の叫びを聞き取り,その後の変化の理由を理解する。
皆自分の記憶を頼りにする他なく,覚えのないものからがむしゃらに倒していた。
敵にはそんな意識すら無いのか時折身内同士で切りかかっているものもある。
「蘭,華……。……きゃっ?!」
シュッと横髪が10本程切れた。
急な攻撃に振り返ると,少女が1人空を舞っている。
「凛々彩。そんなところにいたら……死ぬわよ?」
上を向いたお腹の更に上,もう一人タンと飛んでいった。
「殺しちゃうわよ?」
「シェ……っ」
イナ,と,シェリア……
何で,なんて口にするまでもない。
2人が夜雅の手下だから。
信じたくない気持ちがあった。
信じたい良心があった。
けれど今誰よりも組織のメンバーへ的確な攻撃をする2人を見て,息を呑む。
シェイナの飛ばしたナイフが,夜雅を相手にする蘭華の頬を掠めた。
血の色が声の届かない遠くからでも見える。