貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
この大きな組織のトップだとはとても思えない。
街中で堂々と笑いかけてくるような,ナンパな見た目。
金みたいな茶色の,ふわふわとしたパーマ。
こちらを見透かすような,青くゆるい瞳。
良く通った鼻筋。
蘭華。
今,23?
前回,どうして私を好きになってくれたかなんて分からないけど,絶対に。
私はあなたを落とすよ。
あの日を越えた幸せを,蘭華に見て貰うために。
今,大きくて柔らかいベットに彼が,畳の上に私がいる。
襖を開いた先のこの部屋は,和洋ぐちゃぐちゃで,テーマ性の欠片もない。
畳の上にテカテカと綺麗な茶色の机があるし,かと思えば真っ白のクローゼットには着物が入っていたりもする。
「君は…ここがどこか,分かる?」
胸に広がる,甘い切なさ。
やり直し,その意味を再認識させられた。
どんな女の子も虜になる,ハチミツみたいに甘い声。
その声は,私を特別だなんて思ってない。
「あなたの家でしょう」
灰色のパーカーにダメージジーンズだなんて,とても蘭華らしいと私は思った。
蘭華は足を組んで,余裕そうに頬杖をついている。
その口元が,弧を描いた。
じっと見つめられて,私は震えながらも,笑みを顔に乗せる。
彼の気分で,ただの小娘でしかない私は今すぐにでも命を落とすからだ。