貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「あっここ右で……あれ?」

「どうかした? サム」

「いっいえ,何だか俺が言うより前に凛々彩さんが曲がったような気がして。そんなわけ無いですよね,何処がメインかまではどうやっても分からないですから」

「ええ,サムの気のせいよ。サムの動きと声に合わせて曲がっただけよ」



ドンッと心臓が鳴った。

前回,暇な時に通ってた,なんて,いえない。

頬の赤みを冷たい風に晒して,私は必死に平静を保った。



「ありがとう。ここで待っていればいいのね?」

「はい。じゃあ俺はこれで」

「ええ」



ほっと,適当な位置に座る。

濃い色のフローリングはとても綺麗に掃除されていて,埃1つ無い。

私は肩の力を抜いて



「はぁぁ」



と脱力した。

ぐるりと部屋を見渡して,天井を見上げる。

目を閉じて,数秒。

開いた私はまた部屋を見渡した。

茶色がベースで,全体的に暗く温かい部屋。

襖が似合わないけど,やっぱり。



「落ち着く色合い……」

「それは良かった。僕も結構気に入ってるんだ」

「! 蘭華」



身体の後方の床についた手をパッとあげて,私は振り返る。

そこにはくすくすと笑う蘭華がいた。



「さ,食べようか。今日は一億年ぶりに仕事の予定がない」

「そうなの?」

「全部他の人間で片付くからね」

「そう」



丸1日だなんて,すごく珍しい。

1年過ごしていても,そんな日は多分5回無かった。
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