干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 さっきは必死だったとは言え、副社長の胸に飛び込むような真似をしてしまった。

 自分の大胆さに赤面してしまう。


 ――副社長、いい香りがした……。


 スーツから匂った香りはどこかで知っているような、美琴の心を安心させるものだった。


 ――それにしても、同じ人を好きなるって……それって……。


 あの時の、副社長の言葉や表情を思い出し、ハッとして首を振る。

 いけない、いけない。どんどん顔が火照(ほて)っていく。


「干物……。おまえ何て顔してんだ?!」

「ひゃあ!」

 部長に突然顔を覗き込まれ、美琴はソファで飛び跳ねた。

「部長。美琴ちゃんはそっとしといてあげてください! ねー俊介」

 東が笑いながら言い、副社長を振り返る。

 美琴もそっと振り返ると、すぐに副社長と目が合った。

 副社長は口元をほころばせながら小さく頷き、美琴も同じようにこくんと頷いて返した。


「ほら! そこ! 目配せしない!」

 東がその様子を目ざとく見つけて、野次を飛ばす声が聞こえる。

 美琴は、副社長と一緒に笑い声をあげていた。
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