干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「でも感謝してるって言ってました。友野さんに背中を押してもらったって。きっと雅也ならトータルを変えられる」

「……はい。私も、そう思います」

 頷いた美琴の顔を見て、副社長の指がするりと動いた。

 指先は美琴の顎先から首元に触れ、手のひらは頬を優しく包み込んだ。

 美琴の紅潮した頬には、副社長の手のひらからの熱がじんじんと伝わって来る。


「ずっと伝えたかったんです。僕は友野さんが、味方でいてくれるだけで強くなれる。手を差し出してもらったあの日から、きっとそうだったんです」

 美琴は副社長の瞳に吸い込まれそうになって、目が離せなくなる。


「僕はどうしようもなく、友野さんの事が好きなんです」


 美琴は息を止め、副社長の言葉を全身で受け止める様に聞いていた。


 ――あぁ、そうか……。


 そして自分の中で湧き上がってくる、副社長に対する想いを確かめる。


 ――私が副社長の味方なんじゃない。副社長が私の味方なんだ……。


「私も……副社長の事が好き……」

 美琴が瞳を潤ませながらそう言いかけた時、美琴の身体はぐっと力強く抱き寄せられる。

 そして美琴の言葉をのみこむように、副社長の唇が美琴の唇にそっと重なった。


 美琴は一瞬、何が起こったのかわからず頭が真っ白になる。

 それでも次第にとろけるように、身体を副社長に預けた。
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