干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「驚くのは無理もないよ。俺だって知った時はびっくりしたんだから……」
健太はそう言うと、作業台の椅子に静かに腰かけた。
「あのSNSは俊介が学生の頃から時々更新しててさ、俺と雅也も知ってたんだ。だから雅也は美琴ちゃんがSNSの人に憧れてるって知った時、自分のSNSだって嘘ついたんじゃないかな?」
健太が椅子を勧め、美琴はストンと力が抜けるように座り込んだ。
「今回、美琴ちゃんが植物を手配した渓谷ってさ、俊介にとって大切な場所らしいんだよね。俺には詳しくは教えてくれなかったけど、雅也はそれを知ってるし、一緒にそこにも行ってたんだ。二人は似てるからね。俺には入り込めない絆があった」
――そう言えば前に水上さんが、あの渓谷は友達の『唯一の家族の思い出の
場所』だって言ってた……。副社長の大切な場所だったんだ。
美琴はあの渓谷の、風や葉の隙間から差し込む光を思い出す。
そして心を奪われた、コバルトブルーの色。
――副社長がいつもSNSにあげていたあの景色は、大切な心の風景だったんだ。
そのまましばらく、美琴は健太と共に口を閉ざしていた。
健太はそう言うと、作業台の椅子に静かに腰かけた。
「あのSNSは俊介が学生の頃から時々更新しててさ、俺と雅也も知ってたんだ。だから雅也は美琴ちゃんがSNSの人に憧れてるって知った時、自分のSNSだって嘘ついたんじゃないかな?」
健太が椅子を勧め、美琴はストンと力が抜けるように座り込んだ。
「今回、美琴ちゃんが植物を手配した渓谷ってさ、俊介にとって大切な場所らしいんだよね。俺には詳しくは教えてくれなかったけど、雅也はそれを知ってるし、一緒にそこにも行ってたんだ。二人は似てるからね。俺には入り込めない絆があった」
――そう言えば前に水上さんが、あの渓谷は友達の『唯一の家族の思い出の
場所』だって言ってた……。副社長の大切な場所だったんだ。
美琴はあの渓谷の、風や葉の隙間から差し込む光を思い出す。
そして心を奪われた、コバルトブルーの色。
――副社長がいつもSNSにあげていたあの景色は、大切な心の風景だったんだ。
そのまましばらく、美琴は健太と共に口を閉ざしていた。