腕の中で、愛でる
「━━━━はい、カスミン!あーん!」
購買で買ったサンドイッチを、華澄に食べさせる御影。

優しく微笑んでいるが、この笑顔の中に絶対的な圧力があった。

「あーん……んんっ!?」
(んんっ!大きい……!!)

一口が大きく、思わずむせそうになる。
すると、御影の顔が近づきはみ出たサンドイッチを食べた。

「んん……」
「━━━━━ん…旨っ!
フフ…なんか、エロいね…!」

「………/////
みぃくん、恥ずかし…/////
普通に食べたい…」
「フフ…そうだね!
あんますると、なんかヤバくなるし!!(笑)」


午後の授業が始まり、何事もなく一日が終わる。
「御影ー」
「ん?」

「みんなで、◯◯行かない?
なんか、食って帰ろ?」
「え?行かなーい!」
「なんで?
いつもは来てくれるじゃん!華澄も一緒でいいからさ!」

「今日は、新婚カップルだから」

「━━━━は?
華澄、行かない?」
真理は首をかしげ、華澄に声をかけた。

「私は構わないけど、みぃくんが嫌なら行かない」
「はい!てことで!行きませーん!
…………カスミン、帰ろ?」
「うん」

「━━━━━華澄ーー!」
「え?はるちゃん?」
「良かった!まだいた!」
「え?」

「ねぇ、お願いがあるのー」
「ん?」

「今から、◯◯高の子達と◯◯(真理が誘ってきたファミレス)でお茶しよってなったの!
華澄も来てくれない?」

「え?私は━━━━━━」
「行かないよ」

「は?御影に聞いてないし」
「カスミンのことは、俺が関係するし」

「てか!俺が誘ったファミレスじゃん!
みんなで行こうぜ!御影!」

「だから!行、か、な、い!
“華澄”帰るよ」
強引に華澄を引っ張る、御影。


御影が、華澄を“華澄”と呼ぶ。


これだけで、凄まじい怒りが込もっている。

華澄達に、緊張が走る。
「華澄」
「う、うん!
はるちゃん、ごめんね!
帰るね!」

「うん。こっちこそ、ごめん!」
小さく手を振る華澄に、晴音も手を振る。


「………ヤバかったな…」
「そうね……」
二人の後ろ姿を見ながら、真理と晴音が呟くのだった。
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