ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 子どもは苦手だが、そんな自分にも、必死に三輪車をこいでいるあの子の姿は可愛く映った。

 弟ってことは、あの子も大人になっても、あの店主みたいに、ぼんやりしてんのかな。

「いやいや、姉弟全部ぼんやりってことはないでしょうよっ」
とあかりに言われそうなことを考えながら、社長室に戻ると、全然ぼんやりしていない来斗が待っていた。

「社長、人事の吉田部長がお待ちです」

「ああ、すまない。
 ちょっと寄り道したから。

 遅くなってしまったな」
と言いかけ、ふと嫌な予感がして訊いてみる。

「来斗、お前の名字って、なんだったか?」

 みんなが若手の来斗を可愛がって、来斗来斗と呼ぶので、つい、自分も来斗と呼ぶようになっていたが……。

「鞠宮です」

「……この辺りには多い名字か?」
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