ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 日向は店の扉を押し開けようとして、その横にかけてあるランプを見た。

「父さんがこの店に車で飛び込んできたとき……」

「……いや、その回想の始まり方、怖いから」

 人が聞いたら、なにごとかと思うわよ、とカレンが言う。

「猫とおばあさんを避けて飛び込んできたくせに。

『あれは、お前との思い出の詰まったこのランプに惹かれて飛び込んできたんだよ』
とか母さんに言ってるんだよ」

「おじさまは蛾……?
 っていうか、好きな人がここにいると無意識のうちに思って、車で突っ込んでくるとかヤバくない?

 なに、その死なば諸共(もろとも)みたいなの。

 でもまあ、今でもラブラブだもんね」

「あ、そうだ。
 週末、父親が帰ってくるってよ」

「……やめなさいよ、その呼び方」

 紛らわしいから、とカレンは言うが、大吾に小さなときから刷り込まれているので、直らない。
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