ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
 うんっ、とパジャマ姿の日向は元気に頷いたが。

 単にテレビに集中しているので、適当に頷いたと信じたい。

「食べたらさっさとかえりなさいよ、あかり。
 ……早く帰らないと、何処で誰が見てるかわからないから」

 母、真希絵(まきえ)はキッチンの小さな窓から外を窺いながら言う。

 いや、何処から……?

 誰が……?
と思いながらも、あかりにも、母の恐怖の源がなんなのか、想像ついていたので、おとなしく帰ることにした。

 茶碗を食洗機に入れたあと、あかりはテレビに夢中な日向の許に行き、その手を、ぎゅっと握った。

「日向、おねえちゃん、また来るね」

 ちんまい手、愛らしいっ。

「うんっ」

 日向はテレビで録画してあった戦隊モノを見ながら頷く。

「おねえちゃん、もう帰るけど、元気でね」

「うん、ばいばーい」
 日向は、こちらを見ないまま、笑顔だ。
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