プリズムアイ

3



「おはようございます」

「おはよう、フジタさんはいつも朝がはやいね」

「いえ、仕事で教えてもらったところを復習しないと着いていけなくて早めに来ているんです。最近もの覚えが悪くて」

そうはいっても彼女は二十二歳だ。彼女の健気な頑張りに抱きしめて、励ましたい気持ちにかられる。あれから二か月くらいが経った。最近の彼女の瞳は会ったころよりも、遊色が色濃く揺らめいていた。美司がいっていた、病気の可能性もあるのかもしれない。

「君の瞳はとても綺麗だけど、病気、ではないんだね?」

彼女の顔から生気がみるみるなくなっていくのを感じて、失敗したとすぐに感づいた。

「気持ち悪いですか?」

彼女は俯きながら、小さな声で問うた。かなり、まずい方向に思われているから必死に弁解した。

「違う、僕は好きだ。その瞳、宝石みたいだと思っていた。でももしかしたら病気かもしれないと思うといてもたってもいれなくて…」
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