プリズムアイ
病気。その線はまったく考えていなかった。病気だとしたら、彼女が完治したらあの光は見えなくなるのだろうか。それはそれで勿体ない。

「たしかに。誰か知っている人いないのかな」

そうぼそりというと、美司は鋭さを含んだ早い口調で切り捨てた。

「藤田に仲がいい子って想像つかないですね。こないだ、休日何してるの?って聞いたら石を見つめてますっていってて宝石とか?って聞いたんですよ、そしたら隕石っていってて。この子よくわからないなあって思ったんです」

そういえばこないだどっかに隕石落下したみたいですね、と仕事以外の話でも無駄な話をする。

程よく呑んで、店を出た。美司は覚束ない足取りになって肩に寄りかかっている。
僕はいつものように、「家に来るか」と誘った。
彼女は腕にまとわりつきながら、黙って僕の家の方向に歩き出した。

「最近このあたりで、人間の皮だけが残されてたってニュースになっていませんでしたっけ。怖くないの?」
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