あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
 翌日。

 ヒカルはまだ療養した方がいいと言われ、後2日ほど仕事は休みにして、聖龍だけ出勤した。
 誰が来ても開けてはいけないと言って、ゆっくり休んでいるように言われたヒカルは横になって休む事にした。
 大丈夫と自分では思っていたが、意外にまだ疲れている事に気づきぐっすり眠る事にした。

 
 宗田ホールディングは、里菜の誹謗中傷ビラの話題でまだ盛り上がっていた。
 そんな中、休んでいた里菜が出勤してきた。
 
 相変わらず、年甲斐もなく幼稚な服装で若作りをしている里菜。
 顔は老けているのに服装はまるで幼稚園のような恰好を見ると、何かコンプレックスがあるのだろうと感じられる。

 
 里菜が歩いてくると、社員達がヒソヒソと耳元で噂をし始めた。

 そんな様子を見ながら、里菜はそのままエレベーターに乗った。

 
 里菜がやってくると、同じ部署の社員達が軽蔑の眼差しで見ていた。

 ツカツカと席に来ると、里菜はバン! と叩きつけるように鞄を机の上に置いた。

 その音に、社員達は引いたような表情を浮かべた。


 
「何よ! 私は被害者よ! 」

 軽蔑しているように見ている社員達に向かって里菜が怒鳴りつけた。

「あんた達。産まれた時から「犯罪者の子供」って言われた事ある? 何も知らないで産まれてきて、物心ついた時から親はいない。施設で育てられ、ある日突然現れた親戚に引き取られても「お前は殺人犯の子供だ」と言われて。結局普通に生活させてもらえないのよ! 好きで犯罪者の子供として、産まれて来たわけじゃないのに…犯罪者が産んだと言うだけで、世間から極悪人扱いよ! 」

 社員達は静まり返ってしまい、何も答えなかった。

「世の中にはね、法に触れなくても殺人者以上に人を半殺しにしている人もいるのよ…。親子、兄弟ってだけで好き勝手やって「どこも行く所がないだろう! 」って言って、人をおもちゃにするの! あんた達、そんな思いした事ある? 」

 何も答えない社員達に、里菜の怒りは増していった。
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