あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…
一緒にいたい人
 
 午後からの仕事は特別何もなく過ぎて行った。

 里菜は経理に配属された事が不満で、イヤイヤ仕事をしているようだ。


「千堂さん。ここ、間違っています」

 一枚の書類を持ってきて男性社員が言った。

「訂正して下さいね」

 書類を置いて去って行男性社員を、チッと舌打ちをして里菜は見ていた。
 言われた通り訂正を始めた里菜だが、データーを見ながらニヤッと笑いを浮かべた。


 
 15時の休憩になり。
 社員達が休憩する為にカフェテリアにやって来た。

 里菜に注意した男性社員も仲間の社員と一緒に、珈琲を飲みながら休憩している。

 休憩をしている男性社員の元へ、里菜が胸元を押さえながらツカツカと歩いてきた。

「ちょっとあなた! 酷いじゃないの! 」

 突然大声を出して怒鳴ってきた里菜に、男性社員達は驚いた目を向けた。

「あなたのやった事は痴漢行為よ! 」
 
 そう言って里菜は胸元にあてていた手を外した。

 手を外されると、ブラウスが引きちぎられ下に着ているキャミソールが引き裂かれ、下着が丸見えになった。

 里菜の怒鳴り声にカフェテリアで休憩している社員達がざわめき始めた。

「いきなり襲ってくるなんて、なんなの? 私が何をしたって言うの? 」
「何を言っているのですか? 千堂さん。僕は何もしてませんよ」
「とぼけないでよ! 私にこんな事して…酷い! 」

 わざとらしく里菜は泣き出した。
 男性社員はどうなっているのか分からない顔をしているが、周りの社員達は軽蔑したような目で見始めていた。

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