あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

「まぁ、弟と言っても。聖龍の父親と私は双子だから、同じ歳で同じに日に産まれているからね。それでいて、同じ人を好きになってしまった。…本当は、私の方が先に死ぬって言われていたんだけどね…」

 え? …
 奏弥は少し悲しげに目を伏せた…。

「私は重い心臓病で、成人するまで生きていられないかもしれないと医師からも言われていた。子供の頃には、何度も倒れて、よく寝込んでいた。その為に、弟には寂しい思いをずっとさせていた。…病気で寝込んでいる私を、弟はいつも励ましてくれていて。…でも、成人するまで生きていられないと言われた私が、今こうして生きていられるのは。心から愛する人に出会ったおかげだ。愛する人の為に生きていたい…そう思う力が奇跡を起こしたようで。あれほど弱かった心臓が、今では健康体と変わらない程元気になったんだ」

 心から愛する人の為に生きていたい…そう思う事で、元気になれる…。
 そんな奇跡が起こるなんて…。

 ヒカルはそっと、自分の胸に手を当てた。

(幸せになりなさい。誰よりも、最高に幸せになりなさい。どんな貴女だって、最高なんだから)

 そう言っていつも励ましてくれた姉の声が聞こえてきた…。

「聖龍は、奇跡の子だと私は思っている。聖龍の母親は、弟と愛し合ったけど。その前に、私と出会っていて愛し合っていた。複雑な再会で、なかなか結婚する事に承諾はしてくれなかったよ。でも私は、弟の事を愛していても構わないからと言った。弟を愛しているまま、全てを受け入れるから。この先の人生、ずっと一緒にいて欲しいと言ったんだ」

 弟を愛したままでもいいって…そんな事を言えるなんて私には真似できないかもしれない。
 でも…この人はきっと、とても深い愛で人を愛することができる人なんだ。

「…それほど愛している奥様なら、裏切るような事をされるのはどうかと思います…」

 ヒカルの言葉に奏弥は小さく笑った。
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