あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

「あのね。月のモノはちゃんと来ている? 」
 そう尋ねられると、里菜は3ヶ月ほど月のモノが来ていない事に気づいた。
 初潮を迎えたのは小学校5年生の時で、初めは不順だったが6年生なる頃には安定していて順調に来ていた。
 だがこの3か月余りずっと月のモノが来ていなかった。
「今気づきましたが、3ヶ月くらい来ていません」
 里菜がそう答えると、医師はやはりそうかと頷いた。
「実は、尿検査で妊娠反応が出ているんだけど。何か身体に変化はない? 例えば、胸が張ったり食べると吐き気がするとかはない? 」
「あまり食べさせてもらえないので、食べると吐き気とかはありません。でも、最近食べると胸やけがします。胸は張っていると言えばそうです。なんか、胸の先がギュッと張っているようで下着のサイズがきつい感じがします」
「なるほど。じゃあ、明日にでもいいから産婦人科を受診してもらえるかな? そうすれば、妊娠かどうかハッキリ分かるからね」
 
 妊娠? …まさか…。
 里菜は毎晩のように康生と性交渉を持っているのを思いだした。
 週に一回のペースで関係を持っているが、いつも康生は自分で避妊具をつけていて、最後は里菜の顔にかけてきたり口の中で出す事が多い。
 だから妊娠なんてありえないと思っていたが…。

 ショックが大きく里菜は帰宅しても誰にもその事実を話せないままだった。

 気になった里菜はネットで妊娠について調べてみた。

 性交渉をしていて、避妊をしていても妊娠したケースは多く、初めの方に出る我慢汁でも妊娠する事があると書いてあった。
 そして避妊具が破れていたり、避妊具から精子が漏れてしまったりするケースもありうるとも。

「どうしよう…こんな状態言えないし…」

 里菜は怖くなり一人で抱え込んでしまった。


 次の日。
 里菜は高熱のため学校を休んだ。

 誰もいない家の中で一人、妊娠への恐怖を抱えていた里菜は、じっとしていられなくなり家を出て薬局に来た。

 妊娠検査薬を試せば今現在、妊娠しているかどうか確認できるとネットに書いてあった事から検査薬を買って確かめる事にしたのだ。

 家で確かめるのはゴミなどを見られるのが怖くて、ドラックストアのトイレで検査薬を試した里菜。

 どうか間違いでありますようにと、祈る想いで検査をして見ると…。

 くっきり陽性反応がでてしまった。

「うそ…」

 妊娠している可能性が高い事を突きつけられ、里菜は目の前が真っ暗になった。
 
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