夜這いのくまさん
「私は」

「私はアーレットを殺すことだってできるのよ」
驚くほど冷たくその言葉は落ちていった。シャーレイはそのことに気づかないふりをしてくれていた。先ほどまで元気に人参をたべていたウサギも、泡をふいて横に倒れている。そのことさえも。

村の信仰する神は、国土に広くわたっているものでなく、村だけの信仰だときいた。
毎月村の供物は、例えば果物なら皮をむいて、中身が綺麗なことを確認してから供えるのだ。女は器になるから、穢れがあってはだめだというので結婚するときに神様の代わりに穢れを落とすために性交するのだ。花嫁は花嫁衣裳を夫に脱がしてもらい、頼りにならない薄い肌着のようなものを着させられてただ男がやってくるのを待つのだ。性交をしているとき、夫はそこから目を離してはならない。穢れが浄化されることに目を背けてはならないのだ。そしてその行為を見ることができなかったものは、外でその音を聞いて興奮しているらしかった。

神様は女のことが嫌いなのね。じゃないとこんな発想にならない。

信仰だから、伝統だから。本当にー---?

私たちは汚れているというのか。
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