【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
「エルランド……さん?」
「エルでいい……」
 先生呼びから一気に愛称呼びはいろいろ途中の過程をすっ飛ばしているような気もするのだが。
 それでもぎっちりとエルランドが両手を握っているということは、愛称で呼ばないとその手を離さないという意味なのだろう。
「エル……さん……」
「なんだ?」
 エルランドは嬉しそうに笑った。
「呼べと言ったから、呼んだだけです……」
 ファンヌは恥ずかしくてエルランドの顔を見ることができなかった。視線を下に向け、彼から顔を背ける。それでもエルランドの輝く視線は感じていた。
 ただでさえ彼の『番』と周囲から言われ、動揺していた。やっと落ち着きを取り戻したところに、またファンヌを動揺させるような案件が発生した。
「よし、ファンヌ。早速だが、オレにも『調茶』について教えて欲しい」
「はい……」
『調茶』について考えることができれば、この動揺した気持ちも静まるだろうと、ファンヌはそう思っていた。

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