婚約者の浮気相手が子を授かったので
 だがオスモの言うことも一理ある。禁止されている『薬』や『薬草』が使われていれば、違法だとして取り締まることもできるのだが、そうでないものを使用して違法というのは難しい。いや、不可能だ。
 そのようなことをしてしまえば、『薬』を服用しただけで違法とされてしまうからだ。
「となれば。この『薬』を特定して、この『薬』そのものを『違法薬』と認定してしまえばいい。そのためにも、分析をする必要があるな」
 つまり、今ここにあるこの『薬』を『違法薬』として認定することで、この『薬』を取り扱う者を処罰することができる。
「では、早速この『薬』の成分分析を始めよう。の前に、腹ごしらえだ。ファンヌ嬢は、昼ご飯を食べたのかな?」
「まだですけど」
「よしよし。戦の前の腹ごしらえだ。私がご馳走しよう。といっても、そこの食堂だがな」
 王宮には、王宮やその関連施設で働く者たちのために食事を提供する場がある。
「ですが、大先生。午後の診断は?」
「他にも『調薬師』がいるからな。そこは、持ちつ持たれつだ」
 オスモの言っている意味はよくわかなかったが、とりあえず、午後の診断は他の『調薬師』が行うのだろう。
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