【コミカライズ決定】婚約者の浮気相手が子を授かったので
 壇上のマルクスの声が会場内に響くが、どことなくその声がわざとらしく聞こえた。
「まさか、このような場で獣化するなど。皆さん、危険ですから逃げてください。すぐに騎士団へ連絡を」
「出口はこちらです」
 クラウスが聴講者たちを出口へと誘導する。まるで示し合わせたかのような手際の良さである。
 そういえば、クラウスはエルランドがベロテニアの者であることを知っていた。ファンヌだって、エルランドが教えてくれるまで、彼がベロテニアの出身であることを知らなかったのに。どうしてクラウスはその件を知っていたのだろうか。
「ファンヌ。君も危ないから、そのベロテニア人から離れなさい」
 ファンヌの腕を掴んだのはクラウスだった。他の聴講者たちの誘導を終えたのだろう。
「離して。まだ、今なら間に合うから」
 オスモが言っていた。耳と尻尾が完全に生える前に、『抑制剤』を飲めば獣化を止められると。
「何が間に合う? そのベロテニア人は獣人なのだろう? それに獣になろうとしているではないか。君は、そのような男と結婚できるのか?」
「いいから離して」
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