ビター・マリッジ
「私でよかったんですか?」
ベッドの上で幸人さんからの初めてのキスを受け止める寸前。胸に湧き上がった不安が、ついに唇が漏れる。
私にキスを落とそうとしていた幸人さんは、顔をあげると、はぁっと気怠げに息を吐いた。
「お前こそ、俺でよかったのか?」
冷たい声で訊ね返されて、小さく肩が震えた。
「私は――……」
少なくとも、初めて出会った日の幸人さんに憧れていた。たった一度きりだけど、私に向けてくれた笑顔に胸が高鳴った。
だから、姉の代理でも貴方の妻になることを決めたのに――。