ビター・マリッジ
「コーヒーだったら、ラーメン行きたいかも。近くで美味いとこ知ってるんだけど、四ノ宮さん、まだお腹に余裕ある? その店、ミニサイズもあるよ」
大勢で居酒屋に行くのもひさしぶりだったけど、ラーメンもひさしぶりだ。
幸人さんと一緒にそういう店に行くことはないし、ひとりではなかなか行きにくい。
居酒屋で充分に食べたからあまりお腹は空いていないけれど、小山くんの提案は悪くない。
少し考えていると、何故か小山くんがふっと吹き出した。
「でも、よく考えたら四ノ宮さんにはあんまりラーメンとか似合わないかな」
「どうして?」
「四ノ宮さんて、雰囲気がおじょーさまっぽいから。ラーメン屋とか行かなさそう。家でも旦那さんに、凝ったパスタとか作ってそうだし」
「そ、そんなことないけど……」
四ノ宮の実家のことを隠している手前、小山くんの「おじょーさまっぽい」というワードに、少しだけヒヤリとした。