とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。
「ハーミリア、さあ、僕が教室まで送っていこう。ほら、余所見してはダメだろう? 僕だけ見つめていて」
「はっ、はい……!」
目の前にいるのは、本当にあのライオネル様だろうか?
いつも怜悧で隙のない笑顔を浮かべて、ハーミリアには視線すら向けなかったのに。
目の前にいるライオネル様は、今まで見たこともないようなとろける笑顔を浮かべてハーミリアしか瞳に映していない。
「ライオネル様、学院では今までと同じようになさってもかまいませんわよ?」
「それは無理だ。逆にもう抑えがきかない」
しかも続いた言葉にどういう意味かと頭をかしげる。
もう抑えがきかない? それでは今まで我慢していたというの?
ハーミリアには、まるで宝物のように優しく触れて、他の者には決して見せない表情を?
こんな切望するように熱く求める気持ちを?
——どういうことなの!?
私が動けないでいると、地獄のような痛みで半ば正気を失いかけている男爵令嬢がふたりの前に姿を現した。
呆然としている間にライオネル様が男爵令嬢を氷漬けにして、あっという間に事件を解決してしまう。私の出番はなくなり、その場に取り残されても動くことができなかった。
どうして、どうしてこうなるの! 私の計画は完璧だったはずなのに!!
どうしてうまくいかないの!? ライオネル様は私の夫になるのよっ!!
やってきたローザとテオフィルを無視して、私は策を巡らすために生徒会室に向かった。