とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。
     * * *

 その頃、学院にある王族しか使えない貴賓室で、王太子と側近たちが全校生徒が参加するキャンピングスクールの準備を進めていた。

 王太子の眉間には深いシワが刻まれ、なにかに必死に耐えているようだった。

《ハーミリア、僕には君だけだ》
《わたくしもですわ、ライオネル様》

 ライオネルから渡されたイヤーカフ型の通信機から流れてくるのは、聞いていてこっちが恥ずかしくなるような言葉のやり取りだ。婚約者の命が狙われたから、しばらくは王太子のそばを離れると用意してきたのだ。
 そういうことならと、王太子は通信機を受け取り、この一週間は学院にいる間ずっとつけていた。

「……なあ、しばらくライオネルに側近としての休みをやってもいいか?」
「殿下、突然どうされたのですか?」
「先日の事件から私のそばにいれなくなると、ライオネルから通信機を渡されたんだが、胸焼けしそうなんだ」
「はあ、胸焼けですか?」
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