BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ――いくらモブで当て馬であったとしても、死亡ルートは避けたい……。

 それが今のジーニアの本音だった。となると、残りのシナリオは二つ。それを必死で思い出す。

 第二のシナリオ。それは『スパダリ攻め』と『誘い受け』だ。ということでこのシナリオに登場する人物を紹介しよう。
『スパダリ攻め』はこの王国の王太子であるクラレンス・レッドマン、二十四歳。ジーニアの兄、ジェレミーの学院時代の同級生でもある。深緑の髪に、黒のメッシュ。ちょっとだけ長い髪を馬の尻尾のように一つに結わえている。そして、情熱的な赤い瞳。『攻め』でありながら、『誘い受け』に翻弄されつつ、やっぱり攻めちゃう彼。さらに王太子という身分そのものがスパダリである。金と権力とそして知性と力で『受け』をさりげなく守っている。
 だが、その『受け』は彼に守られていることにさえ気づかない鈍感男。その鈍感さが『攻め』を誘っていることにさえ気づかない。
 そんな『誘い受け』は宰相の息子であるシリル・ダイグナン、年はクラレンスよりも一つ下の二十三歳。ふんわりとした灰色の髪に、光の加減によっては金色に見える瞳。まるで猫のような彼は性格も猫のように人懐こい。ただ宰相の息子であり、その後を次いで王太子を支える立場にあることから頭は切れる。頭脳派ということもあり、身体もあまり筋肉質ではないのだが、無駄な贅肉はついていない。そして、攻めからの愛撫が良く映えるような白い肌。

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