BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 この第二のシナリオはジーニアの中の人の本命シナリオでもある。王道なカップルかもしれない。だが、この二人の美麗スチルは鼻血もんどころではない。こう、胸がきゅきゅっと疼くのだ。そして、背中に腐女子特有のあのゾクゾク感が攻め寄せてくるような、そんなカップル。
 よく赤ん坊はどれだけ見ていても飽きないと言うけれど、このカップルこそジーニアの中の人にとってはそのような存在である。何時間見ても、何日見ても飽きない。むしろ、部屋の壁にポスターとして飾って毎日拝みたいくらいだ。

 ――うわぁあ、尊い。しかも、あの卒業パーティにも参加されるのよね。

 クラレンスは王太子という立場もあり、王立学院の卒業パーティで乾杯の儀を行う重要人物だ。乾杯してそのグラスを飲み干す姿。ごくごくと喉仏が上下するする姿を生で見てしまったら、ジーニアは倒れてしまうかもしれない。
 意識をしっかり持て、ジーニア。と自分に言い聞かせながら、再び記憶を掘り起こす。

 第二のシナリオはその乾杯のシーンが重要である。この乾杯のグラスをクラレンスが誰からもらうかによって、シナリオが分岐したはず。
 ところが、肝心な『誰からもらうか』というところは覚えていない。ただグラスが二つあって、どちらかが毒入りのグラスで、それを乾杯の儀で手にしたクラレンスが「犯人はあいつだ」とかなんとか言って、シリルが追いかけて捕らえるところから第二のシナリオが始まるのだ。

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