BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 四対一ってどんなプレイ、と思う余裕も少しはあった。だから、クラレンスの言葉に従って、ドレスの襟ぐりから左腕を通すことができた。これではまるで、前世の時代劇に出てくる将軍みたいな恰好ではないか。

「……」
 ジーニアの傷口を見たジュードは、黙ってそれを観察している。クラレンスも、ほんの数十分前にそれを見たはずなのに、そのときよりも皮膚が黒ずんで、それが広がっているように見えた。

「時間と共に呪詛が広がり、それを発動する類のものだな。触れてもいいか?」
 ジュードの言葉に、ジーニアはやっとの想いで頷く。
 つつっと彼の冷たい指が、傷口付近を撫で上げる。クラレンスに薬を塗ってもらっている時とは違う感触。
「どうやら、呪詛が発動し始めたようだ。このままでは、この女はあと十日で死ぬ」
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