BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「ジーニア嬢。全ての責任は私が取る。どうか、君の呪いを解く権利を私に与えてはくれないだろうか」

 ――え。どうしよう。っていうか、拒否権ないというか答えられないじゃない。

「承知しました、殿下。どうか妹のことを頼みます」

 ――え、お兄さま……。何を勝手に返事してるのよ。

「では、殿下。ジェレミー殿。婚約の手続きについては、私の方で根回しをさせていただきます」

 ――シリル。違う。そこは、違う。そこは止めるところでしょ。『レン様、僕というものがありながら』って。迫るところでしょ。

 だが、ジーニアの心の声は届かないし、届ける術もない。

「ジーニア嬢」
 突然、クラレンスの優しい声が降ってきた。
「私のために……。すまない、そして、ありがとう。次は私が君を助ける番だ……」

 ジーニアはふわりと身体が浮いたような感覚に襲われたのだった。
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