BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ジーニアはソファの上に身体を横にされた感覚があった。ジュードの熱が離れていく。そうなると、急に寂しく不安になるのが不思議だった。
 誰でもいいのかと問われると、そうなのかもしれない。というのも、今、他人を感じないということが不安なのだ。この暗闇にたった一人に取り残されていくような、そんな感じになってしまうから。

「殿下は、ジーニア嬢を妻に娶りたいと、心からそう思われているのですか?」
 ジェレミーの言葉を続けたのはグレアムだった。
 彼らの声が、ジーニアが一人ではないということを証明してくれる。まだ、それだけが救いでもあった。

「ああ。私のことを、その身を挺してまで庇ってくれた彼女。話をしていけばいくうちに、他の女性たちと違うことに気付いた。彼女は私に媚びを売ってこない。自分が怪我をしても、私が無事であれば、それでよかったと口にする。そのような女性が他にいるか? いや、いない」

 ――かっこ反語かっことじ。
 という心の中で突っ込む余裕もジーニアにはまだあった。そう、意識はしっかりとしているのだ。ただ、目の前が真っ暗で、身体の自由が利かないというだけで。

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