BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
「背中の傷を確認していない。例の呪いとやらは、本当に解けたのだろうか」

 危うく「忘れていた」と口にしそうになったジーニアは、その言葉をゴクリと飲み込んだ。

 そう、昨日のあれは、愛を確かめ合うような行為ではなく、呪いを解くために必要な行為だったのだ。

「背中の傷を見せてもらいたい……」

「はい……」

 ジーニアは身体を起こさずに、そのまま寝返りを打って背中をクラレンスに向けた。何しろ、何も着ていないのだから、背中を向けるだけで傷もまるっと丸見えになる。むしろ、身体を起こしてしまった方が、それ以外もまるっと丸出しになってしまう。

「ジーン……。やはり、まだ傷周辺の皮膚が戻っていない……」

 クラレンスのどこか重々しい声に、ジーニアも「え」と声をあげてしまった。

 ――う、嘘でしょ? ジュード様が解呪の方法を間違えたってこと?

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