BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ジーニアがジーニアとして生を受ける前の記憶を思い出したジーニアの意識は、バクバクと焦っていた。
 それでも、ジーニアの身体は。
「お兄さま、お祝いのケーキを食べましょう」
 と兄の腕をとって、椅子に座らせている。
「お兄さま。お兄さまはどのケーキがいいですか? 今日は、お兄さまの大好きなケーキを、料理人に頼んでたくさん作ってもらったのです」

「これはすごいな。こんなにたくさん?」

「ええ、だって今日はお兄さまの就任祝いですもの。こうやって、お父さまやお母さまたちと、お兄さまのお祝いをしたかったのです」

「ジーニアにそんなことを言われたら、嬉しいな。隊長に就任するよりも嬉しいよ」

「まあ、お兄さまったら。ねえねえ、お父さまもお母さまも、早く食べましょうよ」
 テーブルの上に並んだたくさんのケーキと、両親の顔を交互に見つめているジーニア。

「ジェミーよりもジーンの方が、早くケーキが食べたくて仕方ないようだな。ジェミーの好物を集めたというのに」
 ははっと笑って父が席につく。

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